会期:2016年10月15日(土) ‐ 10月25日(火)
開廊時間:11:30-19:30
最終日は18:00終了
タイで食堂に入ると決まり文句は「コー・メヌー」である。
コーは「ください」、メヌーはメニュー「MENU」のことである。タイ料理名の発音は理解できるがタイ文字は読めない。
それでも「コーメヌー」ととりあえず言う。タイトルはそこから生まれた。
だからこのタイトルは正確にはメニューと読むのではなく、「メヌー」と読むのだ。
- 方法 -
ある程度大まかなテーマを決め 、まずは落書きから始める。
いくつもある落書きから何度も何度も這い上がってくる落書きを対象にする。
過去に作った銅版画、リトグラフ、ドローイングから、モチーフに合った表面を拾い集め、コラージュや加筆をしながら対象を再構築する。
コンピューターを使ったり直に描いたりディティールや構造を時間を掛けて作業を繰り返しながら、長いもので1年ぐらいかけ極力創りこんでいく。
加筆する線は、版画用のダーマトグラフやニードルの線幅など自身がこだわる最小単位を基本に起き、サイズも原寸大で行う。
最終的に、版画テイストの高いコットン紙に出力する。
今度は画面表面の艶度や粘度など特別に調合したUVメディウムを、黒色の深さや対象の形状に沿って塗り分けていく。
ぬれ色の美学や摺り立てのインクの艶に執着しているため、この作業は作品の生命線でもあり、とても重要な行為である。
創る時のノイズやニュアンス、情念、時間などの全ての行為が、エマルジョンと紙と言う簡潔した構造に集約されて行く。
ナマさと対極にあるような無機質な構造かもしれないが、それでもいやおうなく出てくる「ナマ」を抽出できるのではないかと考え、それは自身の生の証と繋がっているのである。
倉地比 沙支
倉地比沙支 個展 「menu」についてのステイトメント一部
2016年10月15日土曜日〜10月25日火曜日
万画廊